6月12日に予算が成立した、休業手当がもらえない労働者に対して、国から直接休業期間中の支援金を支払う制度について、情報が公表されたのでお知らせいたします。

7月10日からの郵送受付開始予定で、今後オンラインでの申請も受け付けるようです。

厚生労働省のこちらのページに詳しいことは掲載されていますが、簡単に説明したいと思います。


制度の経緯

本来、社会情勢などによって、生産調整や、業績悪化のため営業時間を短縮するなどの理由で労働者を休業させた場合、労働基準法にて賃金の6割以上を休業手当として支払うよう定められています。

現在、雇用調整助成金の特例が実施されており、中小企業で一定期間解雇を行っていない事業者であれば、支払った休業手当のほぼ全額が雇用調整助成金として受け取れますが、国から助成金を受け取る前に労働者に支払う必要があり、資金繰りや申請の手間から休業手当を払っていない事業者も多くあります。

そのような状態を受けて、今回労働者側から直接国に対して休業手当にあたる休業期間に応じた支援金・給付金を受け取れる制度が始まりました。

制度概要

厚生労働省HPより(https://www.mhlw.go.jp/stf/kyugyoshienkin.html

制度について大まかなところは上の図の通りです。

2020年4月1日から9月30日の間で、事業主の指示を受けて休業し、休業手当を受け取っていない労働者に対して、休業前の1日当たりの平均賃金(6カ月のうち任意の3カ月の総支給額を90で割る)の8割の金額を、就業しなかった日数分もらえます。月の日数から就業した日数を引いて計算しますので土日などの所定の休みの日も支給対象になります。

提出書類

申請には2パターンあり、本人が直接申請する場合と、雇用主がまとめて申請する場合で提出する様式が異なります。

労働者が提出する場合

申請書と確認書、添付書類を提出します。確認書には雇用主に記入してもらう個所がありますので、雇用主に依頼する必要があります。もし雇用主が協力してくれない場合はその旨を記載することで提出できますが、労働局が勤務実態の調査を行ってからの支給となるようです。

申請書の主な記入個所は以下の通りです。まず申請者について記載する箇所と振込口座を記入するところがあります。

次に休業内容について記入する箇所があります。どこで働いているか(6,7)、休業期間中に働いた日数や自己都合で休んだ場合はその日数(9,10,11)を記入します。日数の記入については、あとで説明する雇用主に書いてもらう「支給要件確認書」の数字を記入します。

休業前賃金額(12)については、休業が始まる前6カ月から任意3カ月分を選んで記載します。総支給額ですので、税金・社会保険を引く前の基本給、残業代などを含んだ額です。この任意の3か月分の賃金を90で割ったものが1日当たりの平均賃金になりますので、6カ月のうち総支給額が多い3カ月を選びます。(賞与は算入できません。)

申請内容に誤りがないという趣旨に同意する署名をします。

次に確認書です。雇用主から命じられた休業か、失業保険の給付や育児休業給付、介護給付を受けていないか、もし今後休業手当が雇用主から支払われた場合、申告するかなどを記載します。基本的にはすべて左側をチェックすることになります。また、それらの内容について間違いないと署名を行います。

確認書の下の部分は雇用主が記入するところになります。

雇用保険番号、労働保険番号を記載したり、労働者が雇用保険の対象か、雇用調整助成金を受給しているか、雇用主が命じた休業か、休業の日数、休業手当や見舞金の支払いについて記載します。あまり面倒な内容はありませんが、就労の日数(7)について簡単に説明します。

申請する期間中(確認書の一番上、労働者が記載する1の欄)に全く就労していない場合は記入不要です。

もし就労した日があった場合、左側の欄には「4時間以上就労した日付け、または本人都合で休んだ日付(土日祝や定休日など所定の休日を除く)」を、真ん中の欄には「4時間未満就労した日付」を、右側には「4時間未満就労した日に短縮営業などで休業時間がある日付」を記載します。

4時間以上の就労があれば休業支援金の対象外として1日カウントされます。4時間未満の就労でもその日に休業時間がなければ1日としてカウントされます。(土曜日の半ドンなど、休業ではなく4時間未満でも1日の就労という解釈です)4時間未満の就労でかつ休業時間が少しでもあればその日は0.5日としてカウントされます。

申請書と確認書のほかに、

  1. 運転免許証などの本人確認書類の写し
  2. 振込先が確認できる通帳やキャッシュカードの写し
  3. 休業前、休業中の賃金額が分かる給与明細、賃金台帳

が必要です。雇用主に確認書の記入をお願いする際に、賃金台帳ももらえるよう依頼するとスムーズです。

雇用主が申請する場合

雇用主が労働者に変わってまとめて申請することもできます。しかしあくまで休業支援金を受け取るのは労働者ですので、受け取り口座については労働者名義のものになります。いったん雇用主が受け取ってから労働者に渡すということはできません。

また、こちらについても労働者側が記入する欄がありますので、労働者への確認が必要です。

申請書の1枚目は事業所の名前や雇用保険の事業所番号などを書きます。また、署名を行います。

申請書の続紙については、労働者一人当たり1枚ずつになります。労働者の情報や振込先口座、雇用保険被保険者番号と、休業した期間中に就労した日数を記載します。日数、休業前賃金額については労働者が申請する場合と一緒です。支給額が多い月を選んで書きましょう。

確認書についても労働者一人当たり1枚ずつになります。該当箇所にチェックを付けて、就労日について記載、署名します。

確認書の下の部分は、労働者が記載する箇所になります。労働者への記入をお願いする際に、振込先の確認と、免許証などの身分証明書のコピー、通帳など振込先が確認できる書類のコピーも合わせて依頼するとスムーズです。また、提出する際には休業前、休業後の賃金が分かる賃金台帳などの提出が必要です。

注意点

記載内容はそこまで複雑ではありません。就労日数の計算だけ注意すれば大丈夫だと思いますので、休業手当を受け取っていない方はどんどん制度を活用していただければと思います。

今回提供されているPDFの様式は、Acrobat Readerで記入ができます。有料のAcrobatがなくてもそのまま記入できますので、簡単に作成できます。ブラウザのアドオンだとできない可能性がありますので、いったんダウンロードしてAcrobat Readerで開いてください。

また、オンライン申請も今後できるようですが、労働者側と雇用主側の2者が記入する必要があり、今までの助成金などの申請よりも複雑なつくりになるため、公開まで時間がかかると思われます。6月までの休業の受付が9月末までですので、先に郵送で手続きされることをお勧めします。

今回の様式は、労働者と雇用主がどちらも記載するものなので大丈夫かと思いますが、不正受給を行った場合、給付額を含めて3倍の額を支払う必要があります。様式が簡単なため作成する気になればできてしまいますが、安易に雇用主を装って申請することは絶対にやめてください。